ラブライブ!サンシャイン!!2期13話のお話

グランドフィナーレ。

3か月、もしくは1年半続いた物語の終わり。

f:id:Metamond:20180106144145p:plain

感想だったり考えた事だったりです、やや長くなっているのでご注意を。

 

f:id:Metamond:20180106143225p:plain

幾度となく聴いた曲のイントロの破壊力って凄まじいものがあります。OPがやっぱり未来の僕らは知ってるよ、ではなく青空Jumping Heart。WATER BLUE NEW WORLDのステージからしてほぼ分かっていたとはいえこういった使い方は嬉しい。

f:id:Metamond:20180106144045p:plain

3年生の暗い顔だったカットが笑顔に差し替えられていたりと細かい変更も。

 

“どんな未来かは誰もまだ知らない” “どんなことがおこるのか わからないのも楽しみさ” “遠い駅できっと何かが待ってるね” “たぶんこの先の未来は謎のままだね”

…ここまで書かずともいい気がしますね。未来とその不確かさを歌いつつ

”未来の僕たちはきっと答えを持ってるはずだから本気で駆け抜けて”

とした彼女たちが13話後述の最後まで駆け抜けなければ輝きは見つからなかったのだと気付きます。そしてこの先も新しい夢の軌道を追いかけることが青空Jumping Heartの挿入で語られていてもう完成されすぎていません?13話前半の時点で厳しい。f:id:Metamond:20180106143309p:plain

屋上を一番遅く後にするのが引きこもっていた善子だったり、図書室の扉を閉めたがらなかったりする辺り学校への愛が深まっていたのだろうことは容易に想像できます。曜ちゃんがずっと言っておきたいことがあった、と述べるシーンは最初の方からあった嫉妬を含めた感情にけりが付いたのかな、と。理事長室での卒業証書を渡すところでダイヤのタメ口だったり12話の繰り返しだったり本当に3年生…という感じ。がらんどうになった教室が終わりを告げるのはいつの時代も同じなのでしょうか。

f:id:Metamond:20180106164940p:plain

f:id:Metamond:20180106143340p:plain

各々想い想いの場所の扉を閉め、最後に校門を閉じるところにおいても黒澤ダイヤは涙を流さず、受け止める側なのが本当に黒澤ダイヤという。

f:id:Metamond:20180106143419p:plain

ここにきて2期1話にあった紙飛行機の伏線回収。家族の台詞がそれぞれ2期のOP,EDに沿ったものになっているのもまたよい。どちらも13話では使われていませんが、その分ここの台詞が際立ちます。紙飛行機は飛ぶ先ではなく、飛ばすことにこそ意味がある。f:id:Metamond:20180106143502p:plain

校舎を巡って今までの声が蘇り、彼女はとうとう涙を流す。彼女の宣言通り全部終えたことを示す美しさと寂しさ。

f:id:Metamond:20180106143530p:plain

3か月聴き続けた、重ね続けられたメロディーとともにこの物語の最初のモノローグが始まります。(脚本 花田十輝が入るタイミングすごいですよね) 今考えるとあのモノローグは全部終わったこのタイミングの千歌ちゃんが述べていたものだったのかも知れません。そして終局。

 

 

WONDERFUL STORIES

青空Jumping Heartの歌詞、my storyに対する変化が見られるような曲名からしてもう。開幕の9人が順に左右から登場するところが、キャストが自己紹介するときのポーズな時点で涙腺に来ます。

f:id:Metamond:20180106143604p:plain

そのあと”いつも~”の歌詞の舞台から、自分が今後の展開が分かったことがすごい良かった。最初から見続けて最後まで見届けていないと分からないであろう演出だと思います。ラブライブ!サンシャイン!!のアニメの最初の曲の衣装である制服で最後を迎えるって本当によい。全26話を振り返る作りとしてなかなか最高では。

f:id:Metamond:20180106143636p:plain

サビの歌詞でこれまでの全てを繋げてくる作りが上手すぎましたね。もう本当にお手上げ。困った。最初、”本当は持ってたんだよ”の歌詞を聞いたときに、彼女たちが見つけた輝きの解答について全部察せました。方々をめぐって探し回った、求め続けたものは一番身近なところに最初からあった、なんてまさしく「青い鳥」の童話の通りですよね。間奏の千歌ちゃんの語りである「私たちが過ごした時間のすべてが、それが輝きだったんだ」とそれに続く歌詞が明示的なその答えですが、散々青色を「海の青」「空の青」「Aqoursの青」、水の青さとして使ってきた物語だったので私は青い羽根を完全にミスリードさせられていました。 サビの歌詞前まではμ’sが撒いた羽根を自分たちの色、青色にして次へと放つ、そういった象徴としての羽根としか見ていませんでした。そこまでの意味でしか青い羽根を考えていなかったです。まさか本当に最後の最後に青色へさらに意味が重ねられるなんて予想できなかった。

f:id:Metamond:20180106143712p:plain

物語の核心となる輝きの正体が、最初から最後まで出てきた羽根によって「青い鳥」の物語として語られる。いや話の作り上手すぎませんか?完全に出自の違う「青」をこうも重ね合わせて来る、しかも(私にとっては)この曲に来るまで気付かせなかったのも含めて傑作。奇しくも千歌ちゃんが輝きの正体に気付いたタイミングと視聴者が気付いたタイミングが同じになる作りになっている辺り丁寧だなぁと思います。UTXでも青い羽根がありますが今だからこそ見える、駆け抜けた後だからこそ見える輝きの象徴でしょう。

f:id:Metamond:20180106143748p:plain

千歌ちゃんの語りに続く歌詞が、”青い鳥 探してた 見つけたんだ でも 籠にはね 入れないで 自由に飛ばそう”ですが、「青い鳥」のラストとほぼ一致していて。「青い鳥」の方では最終的に見つけた青い鳥は飛び去って行くのですが、チルチルとミチルには旅の前とは違い世界が輝いて見えていて、もしあなたが青い鳥を見つけたら返してくれと頼んでいますが、実際のところもう必要ではないのではないかと思わせる形で終わります。また、WATER BLUE NEW WORLDの青い羽根を放つ辺りともかぶせているのかな、と。青い鳥が輝きの象徴であり、それは今までの時間のすべてならば、それを捕らえたままにしておくAqoursではないですよね。数々の楽曲で明日に、先に、未来について歌ってきた彼女たちならば。ラストの虹が9色に加えて透明な1本が一番外側にあるのは我々に向けたものなのかもしれません。

f:id:Metamond:20180106143825p:plain

最後に、言葉のままの意味で幕が下ります。体育館で一度幕が上がって8人が出てきたところからが”ラブライブ!サンシャイン!!”という物語のカーテンコールだったのかなという印象です。WONDERFUL STORIESの歌詞が、ここにきて”いつかまた 始まるんだよ”としている辺りこの物語の幕引きに相応しい曲だとつくづく感じます。

 

モーリス・メーテルリンク作の「青い鳥」、まあそこそこ有名な童話かと思いますが、あらすじだけしか知らなかったので買って読んでみて物語の流れとして思ったことを以下。

 

物語中の旅で最初に訪れるのは「思い出の国」ですが、そこで得た青い鳥はそこを出ると黒ずんでしまいます。Aqoursの輝きと重ねて考えると廃校決定辺りかと思います。決勝進出という一種の輝き・奇跡を手に入れても自身は曇ってしまった辺りでしょうか。

また、旅で最後に訪れるのが「未来の王国」。そこでは生まれる前の子供たちが生まれた後に何をするか(発明・偉業など)を知ったうえでその誕生を待っている場になります。上の未来の僕らは知ってるよ、の歌詞に重なると思うんですよね。未来の王国の描写は一面青色の世界で、衣装の配色とも合う。

そして前述のWONDERFUL STORIESで締め。いや、改めて読んでから(主に)2期を考え直すと「青い鳥」に符合するところが多くて脱帽ものですね。歌詞と物語がマッチしているのはラブライブでは今更言うまでもないですが、この物語のモチーフになっていた青い鳥っていつから考えていたのでしょうか。羽根の描写自体は1期から、もっと言えばμ’sのときからあったにしてもそれを青い鳥まで繋げる発想、何度でも言いますが天才では…。

 

気付いた後はそれしか考えられないけど最後まで気付けない仕組みってやっぱりすごいなと思います。お見事でした。

f:id:Metamond:20180106143937p:plain

 

 

終わりに

ここまでお付き合いいただきありがとうございます。読んでいる方がいらっしゃるのかわかりませんが一応締めくくりを。

最初1話の時にどうするか決めずに書き始めたら結局1話から12回、話数にして13回すべてに対して書いていますね。1話だからではなく1話から書いている、が正解だったようです。

正直途中ひやひやした場面もありましたけれど、ここまで美しい幕引きをする物語をリアルタイムで観ることができたことはなかなかの幸福だと思います。毎週土曜日、非常に楽しい3か月でした。終わり良ければ総てよしとはよくいったものですが、終わりだけでなくその終わりへ繋がる過程も含めて素晴らしい話だったと感じています。終わりの寂しさから抜け出すような曲も劇中にあり至れり尽くせりだな、とも。映画の発表もあり、まだまだこれからでしょうが、私はアニメが物語を閉じるその瞬間を見届けることができてとても嬉しかったですし、幸せでした。

恐らくまたこういったものをたびたび書くかとは思いますが、時間と興味があってお付き合いいただければ幸いです。

 

この作品に携わった制作陣の方々およびキャストの方々へ最大の感謝を。