ドラゴンクエスト ユア・ストーリーの話

dq-movie.com

評判は良くないと知りつつも見てきて、当然のように色々思うところがあったので感想を。

(私自身はついこの間DQ5のエンディングを初めて見ました。)

以下ネタバレ有り感想

 

グラフィック

フル3DCGなのが特徴ですがかなり綺麗でした。フローラとビアンカは元のデザインから変更が加えられていましたが、CGが綺麗なので気にならなかったです。他の登場人物もモブ含めて良かったと思います。FFくらいまでやってしまうとDQの世界観ではないと思っているのでちょうどいいCGでした。モンスターの方もスライムのゼリーのような質感であったり、キラーパンサーの毛並み、メタルスライムの金属光沢、ゲマのいかにも魔族のような見た目。どれをとっても細かいけれど細かすぎず、いいCGであったと思います。雰囲気としてはDQ11のグラフィックをより綺麗にした感じ。

モーションとしても、ブオーンとの戦闘や息子が天空の剣を起こすシーン、最後の根城での戦闘など見ごたえのあるシーンがあって良かったです。

スラリンがメタルハンターの矢を咥えて飛んでいくシーンとかかわいくて好き。

 

音楽

Vの曲だけかと思っていたので”敢然と立ち向かう”が流れたあたりで驚きましたが、まあ使われているタイミングはぴったりなのでしかたないなぁという感じでした。

ゲマとの戦闘はDQ9のラスボス戦(エルギオス戦)の序曲が入ってくる辺りだったかと記憶しているのですが、あのチョイスは良かったですね。メインテーマを使いすぎ感はなくはないですが個人的に好きな曲でもあったので…。(ラスボスの曲に始めから聴いていたメロディーが入ってくるが好き)

あと確認できたのはエンディングのそして伝説へ…でしょうか。まあこの映画の流れで行けばエンディングはこれですよね。

DQ11で過去のナンバリングBGMが使われているのが快く思っていないならこれも駄目だとは思います。あちらはある程度文脈があっての使用があるので若干話は違いますが。

あとは気付かなかったけれど4と7のものがあったみたいですね。まだその二つはやっていないのでわかりません。

 

物語

映画の尺に収めるのはなかなか難しいであろう中、いい具合に重要なところは残しつつ端折っていたとは思います。グランバニアの件とエルヘブンの件をごっそり落として主人公側の出自も天空人にすればまあ収まるのかな…とは思いました。他にも天空城やヘンリーの話も消えていましたが物語上なくても成立はしそうなので仕方ないかと。

(グランバニアが無いのでサンチョが誰なのか分からないまま終わるのはどうにかしてあげてほしい)

あとはブオーンがめっちゃ早く出てくる点ですが、あそこはむしろ好きなまであります。ゲーム的にはあんな強い敵を前半に置くわけにもいかないので無理なのは分かっていますが。花嫁の話はかなり時間を割いていて好感が持てました。上でも述べましたが、グラフィックが綺麗で二人とも可愛らしいので表情の変化が見ていて楽しい。二人の前でどちらを選択、という風ではなかったですが二人とも彼女たちらしい行動を取っていて丁寧だなと思っていました。この辺りではまだ大炎上する理由が見当たらないので普通に面白かったです。あとフローラと老婆の声、同じ人が演じていたのだけどスタッフロールまで気付かなかったので普通にすごい。花嫁の選択としてもいい具合の落としどころだったのでよき。

サンタローズの村がヘンリーの話がなかったので残っており、グランバニアの話もないので村で出産になっていましたが、さすがに雪降りすぎでは…とは思いました。

石化から息子に助けられるところで、直後主人公から天空の剣を目覚めさせるシーンは好き。ゲームにはないあのシーンは追加してくれて良かったと思う。画も良かったし。(娘はカットされているが)

あとはゲームをやっていない場合、妖精の国が何の伏線もなくいきなり出てくるので???となりそうですが尺的に仕方ない。オーブのために過去に行くところは外せないし。

神殿での乱闘で、ヘンリー王子の軍とブオーンが駆けつけるとこもあり。ベタだけどここで来るか!って感じ。(ヘンリーの話なおさら消さない方が良かったのでは?) 魔界に行かなかったおかげでこのシーンが出来ているのは副産物でしょうか。

 

ゲマにとどめを刺すシーンも親子で力を合わせて、というのでDQ5のテーマに沿っているのでいいと思います。

 

正直このあと天空の剣投げて魔界への扉が閉じました、おしまい!で終わっても文句言わなかったと思う。

 

以下ラストシーンへの批判的な意見(及び書きなぐり)

 

 

 

 

 

 

精神に悪い。

 

ここまで順調だった分落差激しすぎてそりゃ大炎上するわってなった。

 

いや何故普通にミルドラースを出さなかったのか理解に苦しんでいる。

 

誰が「ここまでの映画は全部VRでした!!!虚無やろ???」みたいなミルドラースを期待しているのか。その後主人公にそれ(VR)でも大切なものはあるみたいな台詞で倒されておしまい、なのですがいやーいるかここ??? 主人公がVRでの体験や大切なものを肯定しても今まで観ていたのは虚構でした~っていうこの物語の設定は消えないのだけど?

上の花嫁の辺りから感情移入していたのに、あれも全部VRでプログラムの動きやぞと言われるの本当にお角違いなので帰ってほしい。実際に見ているときに上の感想を抱いていたのでこの行動は彼女たちらしいな~なんて思っていた私の心をお前は裏切っている。

物語を楽しむうえでそれに没入するのはある程度必要だと考えているのでそれをわざわざ最後の最後、一番深いところに来ている段階で引き上げられるの本当に厳しい。

というか、メタ的なお話自体は好きな部類なのにここまで拒絶反応が出ているのはもともと”そういう話“として劇場に足を運んでいない訳で。

少し前に、シティハンターの映画がやっていたころ「牛丼屋に行ったらちゃんと牛丼が出てきた」という批評が(良い意味で)されていました。今回のはそれの真逆を行くスタイルだったと感じています。牛丼屋に行ったのだからせめて丼物を出すくらいはしてくれ、という話。

 

逆に言えばどうにかしてそういうお話ですよって伝えてくれていればまあここまで酷い印象にならなかったとも捉えられるかもしれない。一応伏線は無くはなかったので。(花嫁選択の暗示のシーンや妖精の国へ行くときのメタルハンターの辺り) まああれで伏線張ったつもりだとすればもう少し上手くやってくれないと…とは思うけれど。というか最後のやつがやりたいなら他でやってくれませんこと…?ドラクエの名前使う必要性ありましたか?

 

ドラクエ5の映画ではなくドラゴンクエスト ユアストーリーを観に行ったと考えておくと精神によさそう。

 

ここまで負の感情になった映画は初めてなので、その点はいい経験でしたね。はずれを引くのが難しい今日この頃だとは思います。

 

この方の記事は留飲を下げてくれるので、そうなっている人はおススメ。実際この見方で説明されるものであってほしいという希望もある。

yotsutsuji.hatenablog.com

この監督の映画の"アルキメデスの大戦"を3日くらい前に観ているのですが、そちらはこういうことなくいい映画だったのでなおさら何故こうなってしまったのやら…。今回のも最後以外はいい映画なのに…。だからこそ余計にもったいなく感じてしまう。

 

グラフィックと音楽とゲマを倒すシーンまでのためなら行く価値はあると思います。それ以降は地雷を踏みぬく覚悟のある方だけ…。

 

おしまい。